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記事: <いいパートナーの日・インタビュー企画>「宿づくり」を通して深まる、母と娘の関係性【住 菜摘さん】

<いいパートナーの日・インタビュー企画>「宿づくり」を通して深まる、母と娘の関係性【住 菜摘さん】

KAPOK KNOTは、現代における「こころよい暮らし」を提案するブランドです。誰と一緒に過ごすのかが、こころよい暮らしを送るうえで大切なこと。多様性を“豊かさ”と捉えるようになり、パートナーのあり方も変わってきた昨今。11月22日「いい夫婦の日」という記念日を、11月8日「いいパートナーの日」にアップデートしたいと今回のインタビュー企画は始まりました。

第5回目にインタビューさせていただいたのは、岐阜・飛騨高山の貸切宿「すみや青花」を母と運営している住 菜摘(すみ なつみ)さん。「すみや青花」は、インテリアデザイナーであるお母さまと一緒につくりあげた宿です。宿づくり・運営を通して、菜摘さんとお母さまの関係にどのような変化が生まれたのか、詳しくお伺いしました。

聞き手は、当企画の編集を担当しているほしゆきです。

母の想いがカタチになった、
1日1組限定の宿「すみや青花」

ほし:住さん、本日はよろしくお願いします。今回は、宿をお母さまと一緒に運営していくなかで変化している、お二人の関係性について伺えたらと思います。公式サイトを拝見したのですが、運営されている「すみや青花」……とても素敵ですね。

菜摘さん:ありがとうございます。「すみや青花」は2020年7月、私の地元・飛騨高山にオープンした1日1組限定の貸切宿です。インテリアデザイナーの母と、娘の私で運営しています。もともと「いつか宿をつくりたい」と母は思っていたそうで……こちらのお家とご縁があり、オープンする運びとなりました。

ほしお母さまはどうして宿を?

菜摘さん母はインテリアデザインの事務所を経営していて、日本全国を飛び回りながら旅館やホテルなどをつくっているのですが、60歳を目前に「生まれ育った大好きな飛騨高山で、これまでの仕事と旅の経験を生かして自分のお宿をつくりたい」と思ったみたいです。私は母が宿をつくりたいと思っていることも知らなかったので…実際に物件が決まったタイミングで知らされました。

ほしそうだったんですね…!もともとお二人で「宿をつくろう」とお話しされていたのかな、と思っていました。

菜摘さんいえいえ、全然そんなことないんです(笑)。母から話を聞いたときにも、私は全く業種の違う企業に勤めている会社員ですし、宿の運営を担うつもりはありませんでした。手伝える部分はサポートしようかな、と思うくらいで。でも関わっていくうちに、隅々まで母の想いが込められている「すみや青花」を、もっと近くで応援したいと思うようになりました。

 

祖母から母へ、母から娘へ
継がれていく“豊かさ”の視点

ほし仕事のパートナーとして一緒に宿の立ち上げを始めてからは、お互いにまた違う一面が見えたのではないでしょうか?

菜摘さんそうですね。ブランディングを考えるにあたって、「お客さまにどんな想いを届けたいのか」「どんなお宿を目指していくのか」など、母のなかにある想いや考えを一つひとつ言葉にしていく時間があったんです。そんな機会がこれまでなかったので、お宿を通して深めていく会話のなかには、驚きや発見がありました。

私たちの宿は他の一棟貸しや旅館と比べると、たくさんの調度品を飾っていて”もの”が多いんですね。どうしてそんなに、雑貨やインテリアが好きなんだろう?って話をしたときに、飛騨高山で諸国民藝などを扱うお店を営んでいた祖母の話に繋がりました。

祖母は「働き者ではないけれどなんとなく心がときめいて、いつのまにか暮らしのなかで、かけがえのない存在になるもの」を集めて、お店をつくったそうです。

※お婆さまの別荘兼ギャラリー「杜庵」

菜摘さん祖母にならって母も、「どこか問いかけられるような、心に響くものを集めている」という話をそこで初めて聞きました。いまの時代は物を減らすミニマルな暮らしが流行ですし、宿泊施設もシンプルなデザインが増えてきていますが……愛を込めて、その真逆にあるときめきや、心の満ちる感覚を守り続けるスタイルがあっても良い。「すみや青花」は、祖母からの想いを繋いだ宿なんだなぁと、母の話を聞いて私自身も気がつきました。

ほし「どこか問いかけられるような、心に響くもの」って、素敵な言葉ですね。たしかに、物を減らすことで生まれる豊かさにフォーカスされることが多い時代ではあるけれど、その対極には違うかたちの豊かさがある。それを感じさせてくれる空間は、あまり多くないように思います。

合言葉は「一日一新」。共に学び合う日々

菜摘さん学生時代は、出張で自宅を離れていた母に反抗してしまう時期もありました。忙しい時には1ヶ月に2日しか母が家にいなかったりで、すれ違いから。

ほし1ヶ月に2日!飛び回っているというお話は聞きましたが、そんなに忙しい時期もあったんですね…

菜摘さんそうなんです。年間240日ほど出張していたんですよ(笑)。そういう環境もあって学生の時は気づけなかったけれど、一緒に仕事をするようになってからは、「好き」を軸にいきいきと働く母の凄さを日々感じています。今まで以上に、心から尊敬するようになりました。

衣食住すべての提案ができる宿泊施設の運営なので、一緒にお出かけする回数も増えたんです。自分たちの目で見て、実際に触れて学んだものをお宿には活かしていきたいので、勉強の意味も含めて。お客さまへのご提案力を高めるため、行ったことがない地元の飲食店やイベントへ足を運んだり、県外で話題の宿泊施設へ旅したりと、「一日一新」を合言葉にインプットを増やしています。

ほしあまり一緒に過ごせなかった時間を取り戻すように、今は仕事を通してお母さまと日々いろいろな経験を共有できているんですね。素敵だなぁ…

菜摘さんありがとうございます。どうしても親子という距離の近さから、時々伝え方が厳しくなってしまったり、甘えてしまったりと、難しい時もありますが…一緒にお宿を運営できて本当に幸せです。

お客さまへはもちろんですが、誰に対しても、感謝だけではなく「愛」を持って接することが大切だなと感じています。

※菜摘さんが着用しているのは、KAPOK KNOTのタイトパーカーコート。菜摘さんに、デザインのお手伝いもしていただいたコートです。

 

ほしお客さまとは、どのようにコミュニケーションをされているんですか?

菜摘さん私たちの宿は完全に非対人、チェックインからチェックアウトまでお客さまだけでしていただくので、直接スタッフが関わる部分がないんですね。そういった状況で、接客の温かみを感じていただくのはなかなか難しいと思うんですけど、基本的にご予約いただいてからチェックアウトまで、私がコンシェルジュとして宿泊のサポートをさせていただいています。差し支えない範囲で、飛騨高山での旅行計画なども一緒に立てています。

ほしすごいですね…!メールでそのコミュニケーションを取るのはなかなか難しい部分も多いと思うのですが、どうしてそこまで?

菜摘さんお客さまにせっかく飛騨高山にきていただいているので、記憶に残る良い滞在になってほしいですし、この町を好きになっていただけたらすごく嬉しいなと思うんです。なのでお客さまには、家族を迎え入れるような気持ちで接しています。
自分たちの人生を表現する一棟なので、数ある宿のなかから選んでくださった方達には自然と愛が生まれますし、私がもともと人が好きなので…どなたに対しても愛を持って、そして誠実であることを心がけています。

ほし:お二人の「すみや青花」…泊まってみたくなりました。飛騨高山には行ったことがなくて、なかなかキッカケもないので、是非これを機に。

菜摘さん:えっ…!そう言っていただけて嬉しいです。ぜひぜひ、いつでもお越しください。お会いできるのを楽しみにしています。

 

【プロフィール】
住 菜摘さん

岐阜県高山市出身。東京の企業に務める傍ら、飛騨高山で一棟貸しの宿「すみや」を自身の母と運営。仕事で世界中を旅した経験を活かし、コンシェルジュとして宿泊客の旅のサポートを行う。現在は東京と飛騨の二拠点生活をしている。

 

すみや青花公式サイト
https://www.sumiya-seica.com/

すみや青花Instagram
https://www.instagram.com/sumiya.seica/

 

***

 

非対面宿でありながらも愛のある丁寧な接客と、作り手の想いが隅々まで込められた「すみや青花」は、日々お客さまの心を温かく包み込んでいることでしょう。お話を聞いていて、私も来年は家族で宿泊させていただこう!と心に決めました(今年はすでに予約がいっぱいだったので)。お二人のこれからの挑戦についても、是非チェックしてみてくださいね。

「すみや青花」に続いて2棟目となる「すみや落水邸」は、飛騨高山の森の中に佇む、1日1組限定の憩いの宿。現在はプレオープン期間中で、2022年3月にグランドオープンする予定です。なんと来年中に、高山市内に3棟目も誕生するそう!お二人がつくる「すみや」ファンの多さが伺えますね。

※「すみや落水邸」の写真

 11月8日(いいパートナーの日)に重ねた、KAPOK KNOTのインタビュー連載。いよいよ最終回となる次回は、「自分以外の誰か」とのパートナーシップではなく、自分自身との付き合い方“セルフパートナーシップ”について伺います。お楽しみに。

 

取材・編集:ほしゆき
執筆:松本唯人

 

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