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「本気で社会を変えたい」という想いに集う

NPO代表 藥師 実芳さんと仕事仲間の「凹凸を力にするパートナーシップ」

凹凸がうまくハマる、それぞれが違っても組み合わさってインパクトが出せるチームでありたい

Text by monmon ( KAPOK KNOT )  |  2022年11月23日

11月8日は「いいパートナーシップの日」。自分らしくあるために日々向き合ってくれる存在、家族、恋人、仕事仲間、ペットをはじめとする、あらゆるパートナーに感謝の気持ちを伝える記念日です。



この日にちなみ「いいパートナーシップ」をテーマにしたインタビューを連載します。パートナーとともに自分らしい生き方を実践する方々へのインタビューを通じて、さまざまな形のパートナーシップから「こころよい暮らし」を送るヒントを探ります。


第3回目は、認定NPO法人ReBitの代表理事を務める藥師 実芳さん。LGBTQを含めた全ての子どもがありのままで大人になれる社会に向けて、ともに組織運営を行う中島潤さん、佐藤淳さんとのパートナーシップについて、対談形式でお届けします。

【プロフィール】

(写真中央)

■藥師 実芳さん

・代表理事

・2009年に当事者としてReBitを創設。

 パッションと行動力にあふれるリーダー。

(写真左)

■中島潤さん

・事務局長兼キャリア事業部シニアマネージャー

・藥師さんの友人であり同僚。

 思いやりあふれる、組織コミュニケーションの要。

(写真右)

■佐藤淳さん

・経営管理部部長兼コレクティブ・チェンジ担当

・複数のNPOに在籍する社会課題解決の探求家。

 藥師さんの想いに共感し週2で副業として参加。


「本気で社会を変えたい」という想いが人を動かす

KAPOK KNOT 内田

皆さんはどのようなきっかけで出会い、ReBitに関わったのですか?

藥師さん

ReBitは、私が20歳の時に学生団体として立ち上げました。私自身、トランスジェンダーであることを周りに話せず辛い想いをした経験から、子どもたちに「あなたのままで大丈夫」と伝えるために学校への出張授業から始まりました。「LGBTQを含めた全ての子どもがありのままで大人になれる社会」というビジョンを実現するために、運営する上でどうしても誘いたいと思った中島、佐藤に声をかけました。

中島さん

藥師から誘われたのは大学生の頃。学生団体だったReBitに加入し、卒業後は一度民間企業に就職しました。自分がトランスジェンダーであることを明かしてありのまま働ける会社があることを知り、同じような環境が増えて欲しいという気持ちから、LGBTQの領域で仕事をしたいと思うようになりました。個人で活動する道もありましたが、友人でもある藥師の活躍を見た時に「サポートがあればこの人はもっと走れるんだろう」ともどかしく感じたんです。藥師が苦手とするチーム運営やコミュニケーションは私の得意分野なので、貢献できるのではと再加入しました。

佐藤さん

私はLGBTQに限らず、ソーシャルインパクトをテーマにさまざまな社会課題の解決を目指すNPOに携わってきました。藥師は、私が出会った人の中でも本気で社会を変えようと思って活動している。だからこそ未来まで見据えた構想が次々と出てくる人でした。そんな想いと実行力があり同世代でもある藥師に誘われ、一緒に活動することを決めました。

三者三様だからこそ、踏み出せた新たな一歩

KAPOK KNOT 内田

現在は3名でReBitの経営を担っているんですよね。お互いの存在によって、受けている影響や学びはありますか?

中島さん

藥師とはタイプが違いすぎて、ここまで違う人と一緒に仕事ができるのか最初は不安でした。性格診断をやっても結果がいつも正反対(笑)。でも、それだけ違う者同士がお互いを尊重して働けている事実は、他の人の勇気につながると思うんです。ReBitに関わる多様なメンバーが「私は他の人と違うから働けない」ではなくて「私のこの違いは素晴らしいんだ」と思って働けるようになれば嬉しいです。

藥師さん

中島の言う通り私たちは表と裏。自分ができないところを相手が補完してくれるので、全方位を守らなくてもいいんだという安心感を常に感じます。中島のいいところがあって、今の自分があると思っています。

KAPOK KNOT 内田

佐藤さんは、2人のことをどう思いますか?

佐藤さん

藥師と中島は、友人としても仕事仲間としても本当にいいパートナーだと思います。特に、中島はプライベートと仕事の切り分けが上手。仕事の面ではReBitや藥師、私たち一人ひとりに何をしたいのか常に問いかけ、大事にしてくれるからこそ、ReBitに関わる全ての人たちがモチベーション高く、情熱を持って働けているのだと感じます。

中島さん

友人の「やっくん」と職場の同僚「藥師」の両方を大切にできるよう、切り分けはしっかりしています。プライベートと仕事で、コミュニケーションツールを分けてますしね。そして何より、藥師と私がいいパートナーでいられるのは、佐藤のおかげです!ミーティングで私たち2人がぶつかりそうになると、客観的に私たちの意見を整理してくれますし、新たな視点をくれるからこそ、団体運営がうまく成り立っています。

藥師さん

ソーシャルインパクトの専門家である佐藤が入ってくれたおかげで、ReBitの主語が「LGBTQ」から「社会」に広がりました。LGBTQの領域を越えて社会の課題を解決するという考え方にシフトし、さまざまな視野や人脈の面で力になってもらっています。佐藤とは一緒に社会を変えていくために、出会ったんじゃないかと思えるほどの仲間です。

凹凸がハマるよう、常に形を変えるパートナーシップ

KAPOK KNOT 内田

皆さんにとって「いいパートナーシップ」とはなんですか?

佐藤さん

社会や組織の変容に対して、自分たちのあり方を変えていけることだと思います。コロナの流行といった社会の大きな変化や、組織の人数が10名から20名になるタイミングでは、これまで通りのパートナーシップではうまくいかないことも出てくるはずです。そうした時に、どんなリーダーシップをとるか、役割分担はどうするかなど、素直に対話し、変えていける関係性が本当に大切だと思います。

中島さん

互いがプロ意識を持って、任せたことはその人の選択を信頼して任せきる。でも、関心は失わないというのがありたいパートナーシップの姿です。そのためには、常に感謝を伝えることを惜しまない。そして、もやもやしたことを置き去りにせず、多少怖くても気になったことは全て話せる関係性でいたいです。

藥師さん

凹凸がうまくハマる、それぞれが違っても組み合わさってインパクトが出せるチームでありたいと思っています。経営はうまくいくことより、うまくいかないことが多い。今うまくいっていないことを悲観しすぎずに、自分だけじゃ辿りつけない場所をともに目指せる、このパートナーシップを維持していきたいです。

KAPOK KNOT 内田

3名それぞれが考える「いいパートナーシップ」を組み合わせた結果が、ReBitを居心地のいい場所にしているんですね。

中島さん

私たちだけでなく、これまでReBitに関わってくれた全ての人たちとも関係性を絶やさず「卒業してもReBitという居場所があるよ」ということを感じてもらうことが、私たちの目指す「いいパートナーシップ」です!

藥師さん 佐藤さん

やっぱりコミュニケーションが上手い(笑)。

<特定非営利活動法人ReBit>

LGBTQの子ども・若者特有の困難解消と、多様性を包摂する社会風土の醸成を通じ、LGBTQを含めた全ての子どもがありのままで大人になれる社会の実現を目指す、認定NPO法人(2009年12月設立、2014年3⽉法人化)。企業・行政・学校などで1,300回・16万人以上に向け、LGBTQやダイバーシティに関する研修を実施。また、マイノリティ性をもつ就活生・就労者など、5,100人以上へのキャリア支援を行う。2021年度には、精神・発達障害があるLGBTを主な対象とした障害福祉サービス(就労移行支援)事業を開始。団体名には「少しずつ(Bit)」を「何度でも(Re)」を繰り返すことにより社会が前進してほしい、という願いが込められている。

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