コンテンツへスキップ

カート

カートが空です

記事: 対談vol.1|KAPOK KNOT創業メンバーが語る「Farm to Fashion」

対談vol.1|KAPOK KNOT創業メンバーが語る「Farm to Fashion」

木の実由来のファッションブランド、KAPOK KNOT。10月6日に1周年を迎え、アニバーサリー企画としてインスタライブを行いました。

 今回は、その第一弾となる対談「Farm to Fashion」の模様をご紹介。創業当時からのKAPOK KNOTメンバー2人が、ブランド創設の想いなどを語ります。

【目次】
・対談したのはこの2人
・KAPOK KNOTとは
・カポックとの出会い
・カポックについて視聴者からの質問
・たった500gでダウンの暖かさ
・インドネシアの農園訪問秘話
・最後に

対談したのはこの2人

KAPOK KNOT代表 深井 喜翔

KAPOKKNOT代表
2014年慶應義塾大学卒業後、ベンチャー不動産、大手繊維メーカーを経て、家業である創業74年のアパレルメーカー双葉商事株式会社に入社。現在の大量生産、大量廃棄を前提としたアパレル業界に疑問を持っていたところ、2018年末、カポックと出会い運命を確信。KAPOK KNOTのブランド構想を始める。1日に10回以上「カポック」と発する自称カポック伝道師。

note:https://note.com/rudolf819

KAPOK KNOTアートディレクター 外山雄太

KAPOKKNOTアートディレクター
2014年慶應義塾大学卒業。在学時代から始めたデザインスキルを活かし、アートディレクターやグラフィックデザイナー、イラストレーターとして活躍。自身の高校時代の失恋やカミングアウトを原体験として設立した、LGBTやダイバーシティに関わるサービスを提供する「株式会社Letibee」の代表取締役も務めている。

twitter:https://twitter.com/toyamarudasi


KAPOK KNOTとは

--ブランドにとって初めてとなるインスタライブ。まずは、KAPOK KNOTについての紹介をお願いします。

カポック

深井)私たちは「木の実由来のファッションブランド」というコンセプトで、このカポックという木の実の綿を使って、商品を展開しています。今年の商品がこちらです。

エアーライトジャケット

深井)薄くて軽いフードジャケットを作りました。本当に軽くて、身近なもので言うとペットボトル1本分、500gの軽さです。さらに、防水加工もされていて雨も風も凌ぐことができます。カポックの繊維には吸湿発熱という特徴があるので、暖かくもなります。腕にロゴがついているのですが、こちらはゆうたくん(外山)が作りました。

logo

 

外山)このロゴは、日本の「水引」がテーマになっています。結婚式とかでよく使われますが、結び目が解けないイメージから、長く続くように、という想いを込めています。KAPOK KNOTのKNOT(日本語で結び目)にも由来していて、ブランドのテーマのひとつでもある「サステナブル」なモチーフを担っています。

 

カポックとの出会い

--今日(対談を行った10月6日)はブランド発足1周年ということで、そもそものブランド設立経緯を伺えますか?

深井)私は74年続くアパレル会社の跡継ぎとして、25歳の時に家業の双葉商事に入りました。アパレル業界の大量生産、大量廃棄という課題に問題意識を持ちながらも、業界自体の根深い問題なので僕一人の力で変えることは難しいな...と感じていました。もし変えるとしたら、根本的な素材などから変えていかなければ、家業も5年、10年で無くなってしまうと思ったんです。

そんな時、カポックに出会いました。家業に戻る前は繊維業界にいたので、カポック自体は認知していましたが、衣料用の素材として扱うには難しいと聞いていました。でも、前職でそこの糸口が見つかったので、家業の新ブランドとして設立するに至りました。



--なるほど。アパレル業界の問題意識と、素材との出会いでブランド設立に至ったんですね。では、カポックを使ったものづくりを通じて実現したい世界観や想いを教えていただけますか?

外山)KAPOK KNOTでは、作る人にとっても、着る人にとっても気持ちいいものを作る、ということが一つの目標になっています。僕はゲイですが、色々な性のあり方を抱えた人たちが暮らしやすい豊かな環境を作りたい、という願いがあります。KAPOK KNOTには、作り手と消費者の想いに偏りがなく、サステナブルを無理強いすることのないブランドというコンセプトがあるので、僕の願いと共通する部分があると思い、関わっています。

深井)現段階では、カポックをダウンの代替素材として使っています。木の実なので、動物を殺めることも、森林伐採の心配もありません。石油、ポリエステル素材など、従来の服に使われている素材ではないもので、心も身体も温まる服を作ることが、僕らのやりたいことです。

また、ゆうたくんが言ったことにつながりますが、KAPOK KNOTにはLGBTの人がカミングアウトできる安全な空間があります。皆がお互いにリスペクトし合えれば、より良い社会になる、と考えているからです。誰もが「自分ゴト」を拡大させて、生産者も消費者も環境も、みんなが尊重しあえる、サステナブルな世界観を目指したいと思っています。

 

たった500gでダウンの暖かさ

--それでは、実際の商品についてご紹介いただけますか?

ステンカラーコート

KAPOK KNOTのファーストアイテム「ステンカラーコート 」

 深井)KAPOK KNOTは基本、冬用の防寒コートを作っていきます。昨年作ったステンカラーコートは、丸の内で働く人たちをターゲットに、電車通勤する時のアウターの嵩張りをなくす、というイメージで作りました。そして今回はフードジャケット。特徴はとにかく軽くて、特殊防水加工をしているため、雨の時に撥水するところです!

エアーライトジャケット2

2020年、Makuakeで展開した「エアーライトジャケット」

深井)昨年のステンカラーコートとの大きな違いはデザイン。今回はパリコレでの経験もあるファッションデザイナーにお願いしています。各所にデザインのこだわりがあって、例えばコートの内側に入れているブランドのロゴ。ここにはポケットにもなる機能がついています。フードの裏地は肌触りの良い起毛の生地、見頃の裏地には滑りの良いポリエステルの記事を使用しています。

外山)この商品のキャッチコピーは「たった500gでダウンの暖かさ」。水が入った500gのペットボトル1本分の重さになります。冬のアウターは重いイメージがありますが、エアーライトジャケットはその常識を覆しています。

 

カポックについて視聴者からの質問 

--視聴者の方からいくつか質問が来ています。
質問1『カポックはこれまでアパレル用途での開発が困難だったと思いますが、どのように克服したのかお聞きしたいです』

深井)たしかに、カポックはアパレル用途での開発が困難でした。というのも、軽くて短繊維なので糸にしづらく、衣料用としては扱いにくい素材だからです。そこで私は、前職の繊維会社でカポックをシート上に加工する案を生み出しました。KAPOK KNOTでは、このシートを衣類の中綿として入れることでアウターを作っています。

 外山)カポックは、空洞構造を持っていることに秘密があるんだよね。

吸湿発熱の図

深井)そう、繊維の中が空洞になっていて、空気を大きく含むので暖かさを生み出します。呼吸する繊維とも言われる、吸湿発熱の機能を持っているんです。

 

--質問2『シートの加工もインドネシアの工場で行っているんですか?』

深井)カポックの木の実はインドネシア産ですが、シート自体は中国の工場で作っています。今後は全ての作業をインドネシアでできないか研究途中です。

 

--質問3『カポック農家の方は、カポック農園だけで生計を立てているのでしょうか?』

深井)カポックだけで生計を立てるのは難しい面があります。というのも、カポックの木の実がなる時期は9月〜11月。それ以外の時期に、違う果物を育てたり、畜産をやったり、カポック専業農家というよりも、いろいろなことに着手している農家の方が多いです。

 

--質問4『カポックはオイル吸着材として使われるというのは本当ですか?』

深井)はい。海の油を吸着するオイル吸着材として、カポックが使われています。カポックの軽く、水に浮く性質を利用して、海の油を吸着することができるんです。最近ですと、モーリシャス島での重油流出事故などがありましたが、こうした場面でカポックの特性を生かすことができます。

 

インドネシアの農園訪問秘話

--お二人は、実際にインドネシアの農家を訪問されているんですよね?その時のエピソードなどをぜひ教えてください。

深井)そもそも、インドネシアに行こうと思った最初の理由は「カポックの産地が見たい」からでした。インドネシア領事館に訪問してどうしてもカポック農園が見たいと伝えたところ、いくつかの複数の連絡先リストをいただいたんです。慣れない英語のメールを何社かに送って、唯一返事が返ってきた一社に訪問することを決めました。

外山)ジャカルタに行って、カポックの工場があるスラバヤを訪問しました。1回目の訪問は工場のみで、農園は2回目の時にいきました。農園までは、車で7時間くらいかかりましたね...(笑)

 

--現地で印象的だった出来事などはありますか?

インドネシア工場女性

深井)現地の女性たちの作業がとても早くてびっくりしました。木の実を割って、種を取って、綿を切り抜く作業に職人を感じましたね。

外山)木の実を採取する現場でも驚きました。木に登って木の実をとるんです。僕たちもトライしましたが全然登れず...笑 木の上をジャンプするかのように登っていき、枝についている木の実を採取する光景も、まさに職人技でした。あと、農園と工場以外に、カポックを研究する施設にも訪問することができたよね。

深井)カポックの研究施設はジャカルタからさらに2時間飛んで、車で約3時間のマランというところにあります。マランは高い位置に存在していて涼しく勉強できるということから、大学や学校が多く存在しているんです。

カポックは世界に150種類ぐらいあります。インドネシアの研究施設では、さまざまな種類のカポックについて、木の実になりやすい、なりにくいなど木の特徴全てを研究し、カポックを有効に使える用途やその可能性について研究しています。私たちも、KAPOK KNOTの売り上げで、現地に植樹を行うという活動を行っているため、一緒に研究させてもらっています。

 

最後に

--それでは最後にお二方から、コメントをお願いします!

外山)KAPOK KNOTの商品には、バックストーリーがたくさん詰まっています。この対談で伝えきれなかった魅力もたくさんあるので、ご興味をお持ちいただけた方は、ぜひ公式サイトをじっくりご覧ください。

深井)KAPOK KNOTはまだはじまって1年ですが、私たちの想いを全身全霊注ぎ込んでいます。すでにいろいろな方が関わっていますが、ぜひ皆さんとともにブランドを作り上げていきたいと思っているので、よろしくお願いします!