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記事: 対談vol.2|KAPOK KNOTとブイクック代表が語る「Sustainable & Vegan」(後編)

対談vol.2|KAPOK KNOTとブイクック代表が語る「Sustainable & Vegan」(後編)

木の実由来のファッションブランド、KAPOK KNOT。
10月6日に1周年を迎え、アニバーサリー企画としてインスタライブを行いました。

第二弾「Sustainable & Vegan」では、ヴィーガン料理のレシピ投稿サイト「ブイクック」代表の工藤さんをゲストにお招きし「動物を消費しないアニマルフリーな生活と、サステナブルな社会への参加」というテーマで、白熱した対談が行われました。

今回は、対談後半の模様をご紹介。「日本におけるヴィーガン事情」や「アパレル業界におけるアニマルフリー」など、お二人の事業にも直結するお話を伺いました。

※前編はこちら

 

【目次】

・対談したのはこの2人
・世界と日本のヴィーガン事情
・アパレル業界とアニマルフリー
・優しい人が得する世界を目指して
・まとめ

対談したのはこの2人

ブイクック代表 工藤 柊さん

工藤さん1

高校3年生からヴィーガン生活を開始。2018年にNPO法人日本ヴィーガンコミュニティを立ち上げ、2020年にはヴィーガンレシピ投稿サイト「ブイクック」をはじめとしたサービスを展開する株式会社ブイクックを設立。8月には『世界一簡単なヴィーガンレシピ100』も出版している。

note:https://note.com/kudoshu

〜ブイクックとは〜
日本初のヴィーガン料理に特化したレシピ投稿サイト。ヴィーガン生活における「ヴィーガン料理が美味しく作れない」「レパートリーが少ない」などの課題を解決するために、ヴィーガンレシピを気軽に投稿、シェアできるwebサービスとして、2019年に正式リリースした。

ブイクック:https://vcook.jp/

 

KAPOK KNOT代表 深井 喜翔

KAPOKKNOT代表

2014年慶應義塾大学卒業後、ベンチャー不動産、大手繊維メーカーを経て、家業である創業74年のアパレルメーカー双葉商事株式会社に入社。現在の大量生産、大量廃棄を前提としたアパレル業界に疑問を持っていたところ、2018年末、カポックと出会い運命を確信。KAPOK KNOTのブランド構想を始める。1日に10回以上「カポック」と発する自称カポック伝道師。

note:https://note.com/rudolf819

 

世界と日本のヴィーガン事情

beyond meat

出典:https://do-cca.com/2018/04/10/beyondmeat/

 

工藤)Beyond Meat(前編でご紹介した植物肉)は日本にはまだありませんが、中国ですでに展開していますね。

深井)そうですよね。人口が違うのはもちろん、上海とか環境汚染がひどいと言われていた地域が、深刻化しすぎて環境配慮するようになってきていると聞いています。僕らの界隈で言うとオールバーズという、世界一のサステナブルなシューズブランドがアジア圏で最初に選んだのは日本じゃなくて中国なんですよね。マーケットの大きさやサステナブルへの感度という点で、日本よりも先に中国のマーケットが選ばれることが多い印象です。

ちなみに、世界のヴィーガン向けのレシピサイトってあるんですか?

工藤)レシピサイトはあるんですけど、運営者がレシピを投稿するメディアが多いですね。みんなで投稿して、盛り上げていけるような、投稿型のサイトは海外では見ませんね。

深井)じゃあ、工藤さんのやっていることの意義は大きいですね!

工藤)面白いのが、料理は地域ごとに違うので、アメリカのヴィーガンレシピとかを見てても素材がなくて作れなかったりするんですよ!例えば、キノコがすごく高かったり、スーパーフードが手に入りにくかったりとか。

深井)スーパーフードって例えば?

工藤)ヴィーガンレシピでよく使われるのが、チーズ風味の「ニュートリショナルイースト」というもの。それが日本ではまだ流通しておらず、輸入品を買うしかないんです。逆に日本のレシピには豆腐がよく出てくるのですが、海外では高級食材みたいな扱いをされたりも。そういう意味で、料理は地域に特化したものになる、というのがレシピを扱う上でのポイントだと思っています。

深井)じゃあ日本なりのヴィーガンフードが成り立っていく可能性があるってことですね!

 

アパレル業界とアニマルフリー

深井)アパレルの話で言うと、サステナブルなものを買ってみたいなと思った時に、なかなかタッチポイントがないなと思っていて。本当にヴィーガンをやろうと思ったら、どうやって服を選んでいるんでしょうか。

工藤)服は、正直全然選択肢がないですよ。動物素材は避けているけど、特にヴィーガンとかアニマルフリーとかをうたってはいないブランドで買っていますね。一番困るのがベルトや靴。靴は、海外から輸入しているセレクトショップみたいなものがあって、僕はいつもそこで買っています。でもやっぱりコートとかも揃えにくいし、ファッションにおいては困りごとが多いですね。

深井)そうですよね。気になって調べてたら、ヴィーガンファッションの課題って防寒と言われているらしくて。レザーや羽毛、ウール、カシミヤなど動物由来の暖かいものってたくさんあるけど、それなしでと言われた時に「どうやって防寒するの?」という課題。昔は綿を服の中に入れた半纏などもあったみたいなんですけど、綿って実はとても重いんですよ。だから廃れていって、結果的に動物由来じゃないナチュラルな素材で暖かいものはなかなかできなかったんです。そこに対して、木の実由来で暖かさを出せるカポックというのは、解決策の一つです。

カポック

工藤)そもそも、なんでカポックに着目されたんですか?

深井)繊維業界では少し知られていたのですが、商品化できないものだと聞いていて。そこに僕が興味を持って、前職の繊維メーカーの先輩といろいろ研究したら、ダウンの代わりに使えるやん!ということに気づいたんです。

工藤)これまで商品化されていなかったのはどうしてだったんですか?

深井)一番はカポックの繊維の短さと軽さによって、糸にできないという理由です。繊維用だから糸にしたい、と大手の会社が何回も何回もトライしてできなかったんですよね。それを薄いシートに加工して、服の中に入れるというのが私たちの切り口で、それが新しかったという感じです。

 

優しい人が得する世界を目指して

--今後、ブイクックとKAPOK KNOTが目指していきたい世界観や、今後の事業展開について教えてください。

ヴィーガンサンドウィッチ

工藤)ヴィーガンやベジタリアンの発祥はイギリス、先進国はドイツなんですが、現地ではカフェに入ると普通にヴィーガン用のトーストやドーナツが売っているんです。ハンバーガー屋さんに行けばヴィーガンハンバーガーがあるし、スーパーにもヴィーガンコーナーがある。今日からヴィーガンを始めたいと思った時に気軽に始められる、そんな同じ世界観にしたいです。

ブイクックとしては、今はレシピに注力していますが、今後は時間的余裕がなかったり、そもそも料理ができなかったりする人に向けても、ヴィーガン生活を選んでもらいやすいような商品やサービスを出していきたいです。ブイクックを使えば、なんの無理もなくヴィーガンできますねという役割を担いたいと思っています。理由としては、環境保全や動物倫理を実践したいと考えている人たちがいる中で、その活動のせいで自分の生活が辛かったり、不便になっていたり、というのが僕は嫌で。そういう意志を持った良い人が、得するような社会にしたいなと思っています。

 

工場女性

深井)今KAPOK KNOTが目指しているのは「繋がるファッション」。生産者と地球と消費者をつなげたいということです。衣食住で言うと、今は衣が一番繋がってないと思っているんです。食は生産者の顔が見えますとか、住はDIYとかが流行ったりで身近なものに置き換えられていっていると思うのですが、衣をケアできているものってすごく少ない。僕たちはカポックが売れたら木を植えて植樹活動につなげます。その木の実がなってまた次の服が作られれば、それが繋がるファッションとして循環する。アパレルは買って終わり、捨てて終わりとか言われていたのを、しっかり繋げていきたいと思っています。

その先に、ヴィーガンってこういう生活なんだとか、セクシュアリティーってこういうものがあるんだとか、さまざまな視点に気がついて動きたいと思う人が得する世界ができると思っています。そういう世界を目指して、カポックノットという無理しなくていいアウタージャケットができたことで、参加コストは下がると思います。

 

まとめ

動物性の食材を使わないレシピを展開するブイクックと、動物素材を使わない洋服を作るKAPOK KNOT。「アニマルフリー」という共通項によって、今回の対談は実現しました。しかし、お二人のお話を通して、コンセプトだけではなくその先に目指す「良いことをするための参加コストを下げる」という世界観についても、共感しあえる部分があるということが伝わってきました。

アニマルフリーな生活を通じて、サステナブルな社会に参加する。そんなきっかけを作る、2つのサービス、ブランドの対談をお届けしました。