パートナーは私を高く飛ばしてくれる風

友人のデザイナー、フィリップ・リムから「どうしてもTAOに会いたがっている人がいる」と紹介されたのがきっかけです。その時私はパートナーを求めていたわけではなかったので、気軽な気持ちで会いにいきました。すると、彼の落ち着かせてくれる声と雰囲気にその日のうちに惹かれました。当時、日米を行き来しながら忙しなく仕事をしていた私にとって「少し肩の力を抜いてもいいのかな」と癒しを与えてくれたのだと思います。

自分のことが好きになりました。これまでは、相手に対して「気に入られたい」「相手が求めるイメージに近づきたい」という気持ちから、自分を装うことがよくありました。でも彼は「TAOはそのままでいい」とありのままの私を受け入れてくれたんです。テンジンと一緒にいる時のありのままの自分を愛せるようになりました。

友人たちからは、テンジンと出会ってより社交的になったと言われます。以前は日本人の友達が多かったのですが、多様なバックグラウンドの人と接するようになり考え方が広がっていったのだと思います。

人と人との違いを認め、許し合う考え方を教えてもらいました。テンジンがルーツを持つチベットの仏教では、ありのままを受け入れることを大切にする教えがあります。テンジンと出会った当時、私は海外で活躍するため常に前進していかなければと気を張っていたところがあったんです。でも、ありのままの自分の魅力を伝えていきたい、という方向に考え方が変わりました。

出張で離れている時は、2週間に1回は必ず会うようにしています。テンジンも私も仕事で海外を飛び回っているので、意識的に会う機会を作っています。会った時はスキンシップを忘れず、常に感謝を伝え合うようにしています。

一緒にファッションブランドをやっているので、時には方向性の違いで喧嘩をしそうになることも。でも、そんな時は彼には彼のやり方やペースがあることを思い出し、お互いの考えを尊重し合うことで乗り越えています。

違いを楽しみ、愛でることだと思います。折角自分じゃない誰かと一緒に過ごすのであれば、お互いの違いを楽しめるような関係性が理想だと思います。

ちなみに、私にはテンジンと付き合う前に別のボーイフレンドがいました。彼は煌びやかな世界に飛び込む私を心配して、常に彼自身の考えを伝えてきました。言うなれば、私は空飛ぶタコで、彼は地上で糸を持っていてくれる存在。でもそんな時、友人のフィリップに言われたんです。「TAO、あなたに必要なのは糸じゃない。もっと高く飛ばしてくれる風だ」と。テンジンは常に私のファンで、私がやることを一番に応援してくれる。そんな「風」のような存在だと、出会った瞬間に感じました。

私はエネルギッシュで、これと決めたことに全力で突き進む。テンジンは常に落ち着いていて、そんな私を癒してくれる。そんな違いがあるからこそ、いいパートナーシップを築けているのだと感じます。

＜TAOさん プロフィール＞

14歳でモデルデビュー。2006年からパリ、ミラノ、ロンドン、ニューヨークで活動し、2013年にはハリウッドで女優デビューを果たす。国内外で役者として活動しながら、2020年に夫のテンジン・ワイルドさんとともに、ファッションブランド ABODE OF SNOW（アボウド オブ スノー）を設立。テンジンさんのルーツであるチベットと、TAOさんのルーツである日本の伝統を組み合わせたアイテムを手がけている。環境負荷と動物搾取に配慮することをブランドポリシーとし、売り上げの一部をヒマラヤ山脈の人々の白内障治療のために寄付している。

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